・はじめに:
前にも日記で書いた通り、今回の舞台を観に行こうと思ったきっかけは
沢城みゆきさんが出した告知だったんですよ。
その一言一句に決意溢れるものを感じ、初めての舞台をどう立ち回るかをこの目で見届けたい。そんな些細な好奇心からでした。
でも実際の舞台を観に行って、確実に自分の中で変わったことが一つあります。
この舞台を観に行って良かった。そして、この劇団に出会えて良かった。と、心から思えたこと。
こんな素敵な出会いをくれた沢城さんに、まずは感謝を申し述べたい。
本当にありがとうございました。
・開演前のアナウンス:
開演前には沢城さんによる注意事項がアナウンスされたのですが、ことさらに『パンフレットを買ってください』と主張する辺りが商魂逞しい。
2回目は『パンフレットを2冊買ってください』だし。あ、でも自分が買ったのは1冊だけですごめんなさい。(笑
・舞台構成:
物語の舞台は、中央アルプスの7合目にある山小屋。
山小屋の主人(演:伊奈稔勝さん)と従業員(演:真城めぐみさん)を中心に、一家心中を図ろうとする貧乏家族、結婚間近で浮かれ気味のOLとその幼馴染、凋落した大学の登山部メンバーとの触れ合いを2時間半に渡って描いていました。
# 途中に15秒の休憩時間を含む。ちなみに誤記ではありません、ホントに15秒しか無かった(笑
その中でもキーパーソンとなっているのが、登山部の穂積(演:島村比呂樹さん)という人物。
彼は親友である神谷(演:阿部英貴さん)と共に遭難者を助けに行って命を落としてしまうのですが、10年後の再会で魂だけ現世に留まり(ジョジョ5部におけるブチャラティのようなもの?)『山頂からの景色を仲間達と観る』という本懐を遂げた後、天へ召されていくのです。
これに対する考察は、次の項目とも密接に関わってくるので後述します。
・物語に関する考察:
また物語の合間には、「ペル」と「女王」、側近である「ゲルググ」(ってこれ何てモビルスーツ:笑)と呼ばれる登場人物による描写がありました。
実は17日の昼と夜の2回観劇しているんですが、最初に自分が抱いたのは「神谷と穂積の前世における描写」なのかな?ということだったんですよ。
穂積が神谷と一緒に山へ登ることへこだわったのも、「今度こそ2人であの山の頂へ登ろう」(だったかな?)というペルの台詞につながってるのかな?と思ったのです。
しかしそうなると、今度は女王やゲルググが存在することへの説明がつかなくなるなぁ…と思ってた矢先、
mixi内のコミュニティで以下の考察を見つけました。
> 女王様は「卵子」で、ペルくんたちは「精子」、月に一度の山登りはつまり「生理」。
> 女王様が腐ってたのは、なかなか目的「受精」が果たせなかったからなんですね。
なるほど、こう考えるとゲルググの「月に一度の赤い雨」(=生理)や、「(志半ばで悲劇に襲われる)お前の運命」(=これから受精して生まれてくる穂積のこと)という女王の問いに対し、「ぞれでも自分は行きたい(あるいは、生きたい)」と返すペルの意図に対しての説明がつきます。
さらに言うなら、途中で出てきた「運命の別れ道」というのは「子宮」(=卵子へと至る道)の事を指しているのかな?
# そういう意味では、最初の「山麓」の場面は「行為」ということになるのか(笑
こうした紆余曲折を経た末に人は生まれ、それぞれの「山」(=寿命、あるいは人生)を運命付けられる。
ある人の山は高かったり、別の人のは低かったりするかもしれない。また坂道が多かったり崖があったり、はたまた凶暴な獣なんかが棲んでいたりもするかもしれない。
それでも山がある以上、どんな困難が伴っても登り切らなくてはならない。だって自分らは、人間として生きてるんだから。
即ち、
「山登りとは、人生そのものである」と自分は解釈しました。
# 穂積が、激動の運命に翻弄されながらも見事「山」を登りきって見せたことが何よりの証拠じゃないのかなぁ。
最後に山小屋の主人が言った「山小屋には、人生の全てが詰まっている」という台詞。
これには
「山を登る時に疲れた時は、振り返って休んでみる(=思い出に浸る)のも良いんじゃない?」というメッセージが込められているのかな、と考えています。
・役者さんに対する印象など:
とまぁ、堅苦しい考察はここまでにして、それぞれの役者さんに対する印象などを一言ずつ。
島村比呂樹さん … 物語のキーパーソンという、難しい役を見事にこなしてました。凄い
阿部英貴さん … 登山部におけるムード&トラブルメーカー。穂積との名コンビぶりが冴える
佐藤貴也さん … 苦労性の登山部部長。関西弁での流暢な台詞回しに聞き入ってました(ちなみに大阪出身とのことです)
田中千佳子さん … 登山部OBに反感を持つ部員の役。キレた時の演技が真に迫り過ぎてビビった(笑
白石悠佳さん … 登山部のマスコット的存在。ブログなどの写真で観るより可愛かったわぁ
土橋健太さん … 10年前と10年後のギャップが一番大きくて吹いた。パンフの中でも濃いキャラクターを発揮(笑
大原研二さん … 登山部OB。強面で責任感が強く、いつも空回りしているといった印象にピッタリはまっていた
田澤佳代子さん … 10年前は幸せ絶頂→10年後はどん底という、典型的な転落人生を送るOL役を好演
高橋和美さん … OLを静かに見守る幼馴染。変わった親友を変わらず見守るその姿は、「友情」よりも「母性」に近いか
山岸拓生さん … 一家の父親でギャク担当。(シリアスもあったけど)登場する度に観客席からは笑いの嵐が(笑
斉藤範子さん … 母親と女王との二役。自分の中では女王が歌ったゴジラとモスラの替え歌のイメージが強い(笑
沢城みゆきさん … 幼年期と青年期の演じ分けが上手く、初舞台とは思えないほど堂々としていた。今後も楽しみ
伊奈稔勝さん … 山小屋の主人役。語りの口調が何となく
チョーさんに似てる…
真城めぐみさん … 山小屋で働く従業員の役。不機嫌な時の迫力と、冒頭での歌声に聞き惚れてました
・終わりに:
今回の舞台を通じて、自分も劇団子の舞台をもっと観てみたい!と思うようになりました。というか「一目惚れ」に近いです。(笑
次の舞台が決まった暁には、是非予定を空けて観に行きたいです。
それから
過去の公演を収録したDVDも販売されているようなので、ヤッホッホのDVDが出たら注文しないと。
・おまけ:
パンフレットのあるページを見て、ふと思った事。

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凄く…
ダーメストっぽいです…。(マテ