■ウルトラマンゼロ THE MOVIE 〜超決戦!ベリアル銀河帝国〜:
前作で活躍したウルトラマンゼロが、今回は主役となっての冒険譚。
異世界の仲間達と力を合わせて悪行の限りを尽くすカイザーベリアル帝国を相手に立ち向かうという、実に単純明快なストーリー展開でしたが子供向けの作品としては許容範囲かと思います。
特にラン・ナオ兄弟やエメラナ姫の友情とか、ゼロとセブンの親子愛等といった『
絆』が物語の主軸となっており、他人への思いやりが希薄になりがちな時代に対して一石を投じる内容だったのが印象的でした。
物語としては単純明快ながら、『
マルチバース理論』に基づいて『ウルトラ宇宙』と『別ヒーロー宇宙』の存在を立て、架け橋として『バラージの盾』と『ウルトラマンノア』を絡めることで無理なく他のヒーローが映画の世界に入れていた構成の上手さも特筆すべき点でしょう。
アメリカン・コミックスではクロスオーバーでお馴染みの手法ですが、それを大胆にもウルトラ世界に盛り込んできたスタッフのチャレンジ精神には頭が下がるばかりです。
ミラーナイト・グレンファイヤー・ジャンボットといったリファインヒーロー達も活躍の場が多く、当時の原典に引けを取らないカッコ良さを見せてくれました。
特にグレンファイヤーのスカした性格や『炎を纏った髪をリーゼント風に掻き揚げる』仕草のカッコ良さは異常。
こういうアクの強いキャラが大好きなんですよ自分。
しかし(皆言ってるけれども)ジャンボットとミラーナイトの声は逆が良かったと思うんだ。(電光超人的な意味で:※)
ゼロを除くウルトラマン達は、今回もサポート役って感じであまり出番が無かったのが残念だったかな。
しかし戦いが終わった後でさらりとキングが登場したのに吹く。(『
オメー今まで何もしてねぇだろ!』と心の中でツッコミを入れつつ:笑)
それにしても、
●物語のテーマが『絆』
●ラン・ナオ兄弟の両親役で石橋保さん(和倉英輔隊長)とさとうやすえさん(西條凪副隊長)が出演
●ウルトラマンノアが登場
ってスタッフは本当にネクサスが好きなんだなぁ。
(あ、そういえばアベユーイチ監督や音楽担当の川井憲次さんは確かネクサスの製作にも関わってたっけ:笑)
自分もネクサスは好きだからちょっと嬉しかったけどね。
細かい不満は色々とあるけど、総合的には満足の出来でした。
2011年の冬にもまた映画が製作されるらしいし、まだまだウルトラシリーズで楽しめそうですね!
※:
ジャンボットのデザインは『ジャンボーグA』から取られているが、『電光超人グリッドマン』にも類似するものがある。
そしてミラーナイトの声は、グリッドマンの声を担当していた緑川光さん。
後は、分かるな?(ぉ
■仮面ライダーOOO(オーズ)×仮面ライダーW(ダブル)feat.スカル MOVIE大戦CORE:
前作と同じく三部構成だった為、それぞれに対して感想を書きます。
◆仮面ライダースカル メッセージforダブル:
全編通して『
鳴海荘吉ハードボイルド物語』とでもいうべきストーリーでしたね。
ドーパント事件の犯人が自分の相棒で、その相棒には愛する者に触れることすら許されぬ身体にされ、最後は相棒を手に掛けた挙句依頼人に化物呼ばわりされる結末まで含めて。
それでも『
他人の幸せの為に、辛さを堪え自らの罪を背負いながら戦い続ける』…『仮面ライダー』としての計り知れない宿命の重さを感じさせるダークな展開は、まさにハードボイルド。
特に自分の犯した罪を数えた後で『
お前の罪を数えろ』と台詞を決める場面はカッコ良すぎて濡れそうになったわ。(笑
同時にこの事が、(タイトルにもある)
『荘吉=スカル=親』から『翔太郎とフィリップ=ダブル=子』へ伝えたかったメッセージだったのかな?ってことを想像してみたり。
『子供向け』としては少々難しいテーマだったかもしれないけど、物語を通して感じたことを『子』に伝えるのが『親』とか『大人』の責務じゃなかろうか?
そんなことを思った次第であります。
堅い話はここまでにして。
●荘吉の相棒であるマツ(演:山本太郎さん)
●ガイアメモリ売人の小森(演:かでなれおんさん)
●建築物オタクのストーン(演:つぶやきシローさん)
といった個性的な新キャラにより、過去編としての新しい世界観が成立していたのはホントに凄い。
それでいて、
●荘吉とシュラウドの関係(幼馴染、かつ荘吉はシュラウドからガイアメモリの技術供与を受けていたが当初は断っていた)
●ハードボイルダー/リボルギャリーのプロトタイプというべき、スカルボイルダー/スカルギャリーの存在
●既存のガイアメモリの設定(感情の昂ぶりに呼応して力が増減する)を上手く活かした『仮面ライダースカルクリスタル』
●巡査だった頃の刃野警部、サム、幼少時代の翔太郎と真理奈が登場
など、既存の世界観を大事にしていたのも好印象でした。
ツッコミどころは、ぶっちゃけ亜樹子が出てる場面全部。(笑
●仮面ライダーアレルギーで照井さんからベルトとメモリを没収する
●親父がショベルカーに押し潰されそうな時に電話を掛ける
●親父の記憶の続きを観る為にメモリーメモリを奪還しようとしてヤミーに捕まる
この空気の読めなさは何事かと。(笑
◆仮面ライダーOOO(オーズ) ノブナガの欲望:
うーむ、色々と惜しい作品になってしまった感がある。
物語の構図が『無欲な映司』と『欲深なノブナガ』で、この2人の交流や対比が実に興味深い題材だっただけに、それを深く描写するだけの尺が足りなさすぎた…って印象が拭えないのですよね。
それにアンクや他のグリードが物語にあまり絡んでこなかったり、『ギル』と呼ばれる新たなグリードの存在が示唆されたにも関わらず一切登場しなかったりと出し惜しみ感が凄まじすぎ。
比奈ですら、先輩の存在が無かったら物語に絡んでこれたか分からない程の空気っぷりなのはどうなのかと。
そんな中でも鴻上会長やドクター真木は相変わらずのキャラクターで安心しましたが。
むしろこういうイロモノの扱い方を、脚本の井上敏樹さんは良く分かっていらっしゃる。
ただせめて、現世にノブナガを復活させた目的ぐらいは説明してほしかったなぁ…その辺の説明は一切無く、単に気まぐれでセルメダルの実験を思いついて実行したように見える。(笑
これらの要素が悪い方向に噛み合ってしまい、結果として物語全体がちぐはぐになったような印象が残ってしまったのです。
オーズとノブナガが対峙する時のやり取りや、(描写が薄いとはいえ)ノブナガが映司に教わった『
空は青かった』という言葉を呟きつつ崩れ落ちていく場面等、ピンポイントで見れば良い点も勿論あったのですけどね。
MOVIE大戦に組み込むより、これ一本で製作した方が良かった気がしますが…今更その辺りの事情をつついても仕方無い。
ディレクターズカット版で補完されることを期待して待ちたいと思う所存。
◆仮面ライダーOOO(オーズ)×仮面ライダーW(ダブル) MOVIE大戦CORE:
プテラノドンヤミー(雄)が持ち去ったメモリーメモリ、ノブナガの残滓から抜け落ちたコアメダル。
これらが融合して邪悪の化身である仮面ライダーコアが誕生したところで、二つの作品の時間軸が繋がって第三部へ。
『
仮面ライダーの背負った哀しみを憎しみに変え、全てを滅ぼす』と宣言するコアに対し『
お前は、仮面ライダーを知らない』と翔太郎が啖呵を切る場面は燃えました。
憎しみからは何も生まない、辛くても苦しくてもそれを全て飲み込んだ上で人の為に戦い続ける──それこそが『仮面ライダー』の意義なのだ、という強い意志が感じられて。
まさにこの瞬間、スカルの感想で述べた『メッセージ』が荘吉から翔太郎へ受け継がれたのだと確信しています。
一方で亜樹子を──愛する者を守りたいからこそ『
仮面ライダーを辞められない』と決意を新たにする照井△。
直後の仮面ライダーバースとのW必殺技も良かった…ってバースの中の人が後藤さんだったーーーー!?(ガビーン
個人的に、今回一番のサプライズでした。後藤さん変身できて良かったね。(笑
ダブルとオーズも、タジャドルコンボとサイクロンジョーカーゴールドエクストリームのWキックでコアを撃破。
でも映司が地球の反対側までブチ抜いてリオデジャネイロへ行ったのは笑ってしまった。これ何てマイトガイン?とか。(笑
しかも何故店長がサンバの衣装着て其処に居る。いや、もうツッコむのも野暮だから止めておこう。(笑
メリッサ(スカル編の依頼人)が荘吉からのメッセージを伝えに来たり、バージンロードで亜樹子と荘吉の二人が並んで歩く場面はホロリと来ましたね。
今まで離れ離れになっていた親子の絆が、ここに来てようやく繋がったと思うと感慨深いものがありましたよ。
◆総評:
オーズ編が少々残念な出来でしたが、ダブル(スカル)編とMOVIE大戦COREが面白かったので概ね満足しています。
まぁ去年の『AtoZ/運命のガイアメモリ』の完成度が高くそれ以上を期待していた、というのもあったりで仕方の無いことだと思いますが。
今後、オーズは本編・ダブルはVシネマで展開していくみたいでまだまだ彼らの物語が観られるというのは嬉しい限りです。
次回以降の作品も期待して待ってます!